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2007年8月22日 (水)

五体

信楽にいる間に、面白いテレビを見た。NHKのハイビジョンだったかな、東京芸大の自画像の話だ。

東京芸大の絵画を選んだ学生は、卒業する前に自画像を描かねばならないということで、これは黒田清輝から始まった伝統らしい。その自画像は、学校が買い上げ、永久に保存される。

番組は、明治から現代に至る4600枚にものぼる自画像を紹介していく。その時代背景と、時にその作者のその後を織り交ぜながら。

絵は、つたないものもある。芸大の学生なので、つたないわけはないと思うが、そう見えるのだから仕方ない。それは、ほとんどの作品にあふれている若気のせいなんだろう。そういうものを見ていると、なんだかこちらも気恥ずかしく、またわしも若い頃を思い出してしまう。

また、最近の作者が登場して、「この作品は、こういうことを表している。」とか解説してくれたが、実際の作品を前にして、その解説の無意味なこと。実際の作者の意図でさえ、作品の前ではこんなに意味がなくなるものなのか。

その番組を見ている間に、わしは若い頃よく読んだ詩集を思い出していた。絵画とも、芸大とも全然関係ないけど、思い出したんだから仕方ない。どうですか、詩集ですよ。すごいでしょ。まるで文学青年みたいでしょ。わしは、本はたくさん読んだのだ。

金子光晴。知っている人は知っている。知らん人は全然知らん詩人。わしは大好き。

金子光晴というと、「おっとせい」が有名で、反戦詩人みたいに捉えられているけれど、わしは彼が東南アジアを漂白していた頃のものなど、何度も何度も読んだ。背後に流れるセンチメンタリズムがいいんです。

それで、横浜に戻ってきて、さっそく本棚を捜し、読み返す。やっぱりやることいっぱいあるから、それこそ丁寧に読み返す。

30年来の一等好きな「五体」がやはりいい。その最後のくだり、

「また、この心は、

損益や、真偽を思量するためでなく、そのまま

君にあずけるためにあると知った。」

にまたしみじみする。最近、損益ばかり考えているので、いかんいかんと思いながらも、またこれから損益を考えねばならん我が身のつらさよ。ああ、これって、現実逃避かもしれんけど、旅に出たいなあ。とか書くと、女房様が、「あら、旅。へえ。いいわね。自分だけ行くの?あっそう。行ったら?」とか言ってくるのかなあとか思う、おやぢの休日であった。おしまい。

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コメント

なんでも換金する時代ですからね。。
便利なようで空しいです。どっちが良いのかな。
だから不便なとこへ行きたくなったり。

ど田舎へ行って金なんていらねーよって生活をしてみたくなる事があります。

分かっちゃいるけど、そうもいかない時代になってしまっただよ、って思いました。

投稿: きっちょむ | 2007年8月23日 (木) 12時08分

恥ずかしながら金子光春、名前だけは聞き覚えがありますが。陶芸、文学、絵画、彫刻など、共通点があると思います。表現手段が異なるだけのように思えます。逆説的には同じ陶芸に手を染めていても方向性が異なるように、人それぞれであるとは思います。
 読解力のせいなのでしょうが、おやじとおやぢの違いが解りません。教えてください。
 また信楽の件ですが、勝手に希望を言わせて頂くと製作期間内に参加希望者を募っていただき、めったにない機会なのでたとえ1日にしても収容人数枠により、勝手に往復をするので、参加させて頂ければと思います。

投稿: 那須天然山女魚 | 2007年8月24日 (金) 21時56分

きっちょむさん おはようございます

わしは金は欲しいです。あまりたくさんはいりませんが、欲しいです。ああ、空から金が降ってこんかなあとか思って空を見上げたりします。

わし自身はあまり金のかかる男ではないですが、この歳になると、やはりいろいろと金のかかることが出てきます。

まあ、街でばったり友人に会って、気軽にちょっとうまいもんを軽くおごってやれるぐらいの金持ちにぐらいになれたらいいなあとか思っております。こころざし、低いかな。

投稿: 土丸おやぢ | 2007年8月25日 (土) 07時18分

那須さん おはようございます

ううむ。まじめな方なのでしょうね。
済みません。読解力のせいではありません。おやじとおやぢの違いとは、これは、わしが自分で自分のことを「おやぢ」と言っているだけで、深い意味はいっさいありません。

信楽の件はまだ先のことなので、何にも決まっていないので、どうなるやらさっぱりわかりません。希望者があまりに少なければ、那須さんにも声をかけさせていただきます。ただ、参加希望者は基本的には教室の生徒さんを主体に考えています。ということで、那須さんも、うちの教室に入会されたら?

いきなりの営業で申し訳ありません。
那須ならば、無理ですかね。

投稿: 土丸おやぢ | 2007年8月25日 (土) 07時26分

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